日本最大級のNFTプロジェクトのファウンダー「Road」とは?【αU クリエターズインタビュー】
NFTマーケットプレイス「αU market」で活躍中のクリエイターにインタビューし、活躍の秘訣とNFTアートの魅力に迫る本企画。今回紹介するのは株式会社バケット代表取締役社長であり、CNPのファウンダーである「Road」氏だ。社長として、プロデューサーとして数々のプロジェクトを成功させてきた背景や、現在進められている『デジタル城下町プロジェクト』について話を聞いた。
Profile:Road
サラリーマン時代に店舗とネットを融合させた新しいネット通販サービスの企画・構築・運用を行う。2007年、前身であるトゥーンライン・コーポレーションを設立し、現在は株式会社バケット代表取締役社長。NFTプロジェクト「CryptoNinja Partners」のファウンダーとしても活躍中。
X:@road_ninjart
X:@digitaljokers
Link: https://www.jkrs.jp/
目次
・ NFTの世界へようこそ
・ 成功と挑戦の軌跡
・ 「αU market」での新たな挑戦
・ 未来へのビジョン
・ 読者へのメッセージ
・ ファウンダー「Road」とは
NFTの世界へようこそ
――本日はよろしくお願いします。早速ですが、Roadさんがどのようにして現在の会社バケットを設立し、運営していくようになったのか経緯を教えていただけますか。
Road:いつかは起業しようと思いながら、通信会社でサラリーマンをやっていました。その後、コンビニチェーンのグループ会社のネット関係の会社に勤めもしましたが、「リアル×ネット」ということを長年やっていた流れで、インターネットのマーケティングを支援していく会社を自ら設立したという経緯になります。
――初めてNFTに携わるようになったきっかけや作品は何ですか?
Road:NFTを初めて知ったのは、2021年の9月です。当時はインターネット上でのキャンペーンを業務としてやっていました。インターネット上・デジタルで“価値の交換”ができるようになってくると、デジタルでのマーケティングも変わってくるんじゃないかと思い、そこから興味を持ち始めたのがきっかけです。
はじめは、 NinjaDAOというコミュニティに所属して、NFTとはどういうものかを勉強しました。初めてNFT作品に携わったのは、2021年の10〜12月にかけて、Ninjart Platinum Collectionというプロジェクトを実施した時ですね。NFT界隈でトッププレイヤーの方たちにお声がけして、CryptoNinjaをテーマにした作品を作っていただき、それをオークションで販売するというプロジェクトは、当時としては斬新だったと思います。今よりNFTクリエイターも少なく、黎明期特有の「みんなでNFTを盛り上げていこう」という思いで参加していただけたのかなと思っています。
――Roadさん自身がNFTに取り組み始めた背景や影響を受けたものというのはありますか?
Road:もともと、自社でweb2のサービスを手掛けていたので、そこにNFTという新しい技術を導入していったというのが背景としてあります。
影響を受けたもので言うと、CLONE X(クローンエックス)のプロジェクトで、RTFKT(アーティファクト)という会社が村上隆さんとコラボしながら展開していたNFTプロジェクトです。ホルダーに様々な付加価値のついたNFTを提供していく手法は自身がプロジェクトを展開する上で、すごく影響を受けています。
挑戦の軌跡
――過去に行ったプロジェクトについて聞かせてください。
Road:Platinum Collectionの後に取り組んだCNP(CryptoNinja Partners)が、私の代表的なNFTプロジェクトになります。
今でも、国内のNFTプロジェクトの中でかなり注目を集めていますかね。2022年の5月にスタートしたのですが、そこから2年経ってもまだまだ成長しています。
――ここまでCNPが広く浸透していったのは何が要因だったと思いますか?
一番大きいのはタイミングですね。例えばリリースを1か月後ろ倒ししていたとしたら、今のような形にはなっていなかったと思います。CNPは誰でも入ることができるコミュニティの中で完全公開の形でプロジェクトの企画~リリースまで全て行いました。いい意味で悪乗りしたアイデアがたくさん寄せられ、それらを反映させる形で他にはない特徴を持ったプロジェクトになりましたね。また、その過程をたくさんの方がコンテンツとして楽しんでくれたことが、リリース時の盛り上がりにつながったんだと思います。
――苦労した点や学んだ教訓などはありますか?
Road:CNPについては苦労の連続でした。それまでに取り組んでいたweb2のプロジェクトでは、それぞれが役割分担をして進めていく従来のやり方をしていたのですが、このプロジェクトについては、オープンな場で意見を出し合ってプロジェクト自体を推進していきました。
この進め方自体が初めてだったのでとても苦労したのですが、プロセスをたくさんの人たちで共有をしながらNFTを作ることで、周囲の人たちが私たちと同じ温度感を持って応援してくれたんです。その点で、今のweb3の分散的な活動の持つすごさを学べましたね。
――作品に込められたメッセージやテーマを教えてください。
Road:CNPのメッセージは、 “ファンからパートナーへ“です。
『CryptoNinja』という忍者のキャラクターをモチーフに、作品のファンであるだけではなく、さらに踏み込んだ“パートナー”という役割で、作品をより拡張していくことをみんなで目指して作ったものになります。
パートナーとして自分の好きなキャラクターを盛り上げていくことができる。そういう世界を作っていくきっかけになるのではないかと考え、このプロジェクト、作品を作っていきました。
αU marketでの新たな挑戦
――現在進められている『デジタル城下町プロジェクト』について聞かせてください。
Road:まず『デジタル城下町プロジェクト』が何なのかと言いますと、200城ぐらいの日本の有名な城を起点にして地域コミュニティ形成をしていこう、というプロジェクトになります。
いろいろなお城の『デジタル城下町』というコミュニティを作って「デジタル城下町の町民になりましょう」「町民になるためにはデジタル城下町の町民証をゲットしてください」といった流れです。また、実際にお城を訪れたり、課金したりするとデジタル城下町の町民証がグレードアップするようになっています。
2023年の12月に愛知県犬山市の犬山城からスタートして、2024年10月末の時点で50城のコミュニティを形成しています。これから実装することが決まっている城はさらに38城。年内に100城の町民証配布ができる状態を目指しています。
たくさんのお城の町民証が登場することで、町民証を集める人がいたり、お城に行って町民証を育てる人がいたり、コミュニティで情報交換したりと、いろいろな形でお城を楽しむことができています。
ユーザーには、城が好きな人もたくさんいますし、歴史好きな人もいます。いろんなキャラクターのIP、作品の中にも出たりするので、城というのは意外と馴染み深いんですよね。
“キャッスルツーリズム”というキーワードで、城を地域の象徴として捉えて、「○○城に行きましょう」「城に行ったら、その周辺の施設の観光もしましょう」と、その城の文化圏を含めて楽しむ。自治体とも協定を結びながら、地域を盛り上げようとしています。
ちなみに、このデジタル城下町プロジェクトのイメージキャラクターは、CNPのキャラクターであるマカミが努めてくれています。その結果、マカミの等身大パネルが岐阜城に設置されるなど、CNPと自治体をつなげる役割も担っています。
――『デジタル城下町プロジェクト』で、現在どれくらいの町民がいるのでしょうか?
Road:城によって町民の数は異なるのですが、例えば犬山城で言うと4,500人。サービス全体としてはユーザーが重なっているので1万人ぐらいですかね。ネット上であれば町民証はすぐ配れてしまうのですが、あえて少しずつ丁寧に配っています。
イベントで城好きの方たちに配ったり、自治体に配ってもらったり、実際に城を訪れた方が入手できたり、といった形で、コミュニティを大切にしながら少しずつ着実に町民を増やしています。
――町民同士のコミュニティに対しては、どういった施策を実施しているのでしょうか?
Road:まだ町民を増やしているフェーズなので、コアな形では実施していませんが、自治体さんと話をしていることはあります。それぞれの城や自治体さん毎にテーマがあるのですが、例えば彦根城は2027年に世界遺産の登録を目指しています。それをリアルだけでなくオンラインコミュニティを通して盛り上げていきたいな、と。
そういう流れをこれからモデレーターである我々がコミュニティに顔を出すような形でつくっていき、各城と連携している自治体の方向性に応じてコミュニティを運営していこうと考えています。
――『デジタル城下町プロジェクト』を運営するにあたって、「αU market」を選んだ理由について聞かせてください。
NFTとして町民証を販売する際に、獲得のハードルをどれだけ低くできるかが課題でした。
その点で「αU market」さんの『αU wallet』は、すごく簡単に作れるし、日本円の決済もできる。あとは何よりKDDIという安心のブランドですかね。デジタル城下町プロジェクトは全国の自治体さんと連携して進めているので、自治体さんにも理解していただきやすくなるのではないかなと。そういったところで、城に興味はあるけど、まだNFTは難しそうだと思っていた方を、町民証の購入まで、しっかりサポートしてくれるのではないかというのが「αU market」さんを選んだ理由です。
未来へのビジョン
――Roadさんの将来的な夢や目標を教えていただけますか?
Road:デジタル上で”価値”の交換ができるような社会を早く実現していきたいですね。結局、インターネットのマーケティングと言っても、これまでの対象は“情報”でした。
リアルの中で生まれてくる価値をインターネットで効率よく届けていく。NFTという、デジタルの中で価値が生まれて、その価値がデジタルの中で交換できるようになることによって、社会が変わると思っています。
ただ、「結局何の役に立つの?」というのが足りていないんです。よくユースケースという言葉が使われるんですが、今できるようになりかけているものを、サービスとして形にしていく。この価値はデジタルではこういう伝え方をしていけばいいのではないかというものを多く生み出して、世の中に提案していきたいですね。
――ユースケースを作っていく流れを実現していった先に、世の中はどうなっているかRoadさん自身のイメージはありますか?
Road:フィジカルであまり活動しなくてよくなるといいですかね。今も少しずつできてきている感じはありますが。私が代表を務める会社もフルテレワークにして、その方向で進めています。
私は田舎の出身なんですけど、「地方にいたら東京のイベントに参加できない」とか「子どもがいたらライブも簡単に行けない」とか、そういうフィジカルデバイドをなくしていきたい。
われわれが我慢してきたことの解決というか、デジタルでも100%ではないですが、近しい体験ができる。そういうことがこれから進んでいくと思っています。web3というのは、そこに近づいていく技術だと思っていて、デジタルにできることがますます増えるといいなと。
読者へメッセージ
――ファンに向けたメッセージをお願いします。
Road:『デジタル城下町プロジェクト』は、作品やアートとして集めるタイプのNFTではありませんが、例えば、専用のアプリと持っているNFTを連結させて、アプリの中でコレクションしていったり、専用のコミュニティに入っていったりすることができます。αUウォレットもこのアプリと接続できるようになっています。また、そのNFTを持っていることがアプリ上で証明されていれば、実際に城に行った時に何らかの特典を受けることができるようになる予定です。
作品としてのNFTではなく、NFTというものを従来のweb2サービスアプリやサービスと連携させて、より楽しい体験ができるものを作ろうとしています。そういった可能性も含め、ぜひ興味のある地域、自分に縁がある地域の城の町民になって、楽しんでみてください。よろしくお願いします。
ファウンダー「Road」とは
日本最大級のNFTプロジェクトを取り仕切るRoad。web2黎明期から活動を始め、人・情報・地域・デジタル技術を円滑に結び付け、web3になった今も精力的にプロジェクトを推し進めている。
NFTの登場によってデジタルに価値が生まれ、その価値をデジタルの世界で交換できる社会。今回、Roadが語ってくれた“フィジカルに捉われない世界”の実現はそう遠い未来の話ではなくなっている。デジタル技術を駆使し、常に新しいサービスを世に提供し続けている彼に今後も期待したい。